
技術情報
取扱い上の注意(ゴム製フレキシブル継手)ATTENTION
ゴム製フレキシブル継手 取扱い上の注意
ゴム製フレキシブル継手(以下製品)の機能を充分に発揮し、安心してお使いいただくために、以下の「取扱い上の注意」を充分ご参照ください。
使用上の注意事項
- 1.ご使用前に製品の損傷の有無をご確認ください。特にパッキン面、ゴム本体内外面などに損傷がある場合は使用しないでください。
- 2.使用範囲について
現場の最高使用圧力・最高使用温度が各製品の使用範囲内であることを確認の上ご使用ください。使用範囲外での使用は製品の寿命を著しく短くし流体の漏れなど不具合の原因となります。 - 3.複合変位量の補正について
各製品の許容変位量は単独変位の最大値を示します。従って変位が複合する場合は次の式で補正してください。
(例)TOUGHLEX 100Aで偏心10mm必要な場合の補正許容伸び量
補正伸び量=15×{1-(+)}=7.5mm - 4.製品は、締切運転などの誤作動によって破損する恐れがありますので運転時には必ずバルブの開閉をご確認ください。
- 5.流体を急激に流すようなバルブ操作はしないように充分ご注意ください。
- 6.製品は管内流速3m/s以下でのご使用をお薦めします。
- 7.油脂・有機溶剤(シンナー・トルエンなど)・酸・アルカリなどが付着しないように注意してください。
万一、付着した場合は速やかに拭取ってください。 - 8.配管ラインの耐圧試験をエアーで行う場合には、継手を外してから行ってください。また、継手を取付けた状態での試験は、エアー加圧ではなく、液体加圧にて行ってください。
保管上の注意事項
- 1.運搬中・保管中、製品に損傷を与えないよう充分にご注意ください。また、損傷などがある場合は使用しないでください。
- 2.長期間保管する場合、冷暗所に保管し直射日光を避けてください。
- 3.温度40℃以上および過度の湿度、水分のある場所に長時間放置しないでください。
- 4.製品に火気が当たらぬよう充分にご注意ください。
- 5.製品に荷重をかけないようご注意ください。
施工上の注意事項
- 1.製品をポンプに取り付ける位置は下図をご参照ください。特に製品の上流側(手前)に逆止め弁を取り付けると、常に水頭圧力による疲労の蓄積とポンプの起動・停止による水撃などが不具合発生を引起す危険性があります。
また、仕切弁(バタフライバルブ)に直接製品を配管すると、パッキン面が破損する恐れがありますので、短管を介して施工することをお薦めします。
数字 名称 ① 固定金物(防振) ② サポート金物(防振) - 2.製品は、伸び・縮み・偏心・偏角など取付時寸法許容値内に収まるよう施工してください。
- 3.製品が変位した時、周囲の構造物や機器(特に鋭利な角)が製品に触れないようにお取り付けください。
- ゴム製フレキシブル継手を配管に接続する際は、無用な外力(圧縮・引張り・ねじりなど)が加わらないよう寸法および心出しを正確に行ってください。
- 取付け後、その付近で溶接・用談を行う場合は、製品に火花が掛からないよう保護用のカバーなどを被せてください。また、溶接・溶断の熱が伝わる恐れのある場合には、製品をはずすなどの処置をしてください。
- 6.屋外配管による外ゴムの劣化について品質的に問題はありませんが、防止を考慮される場合はラギングなどの取り付けをお薦めします。

数字 | 名称 |
---|---|
① | 伸び |
② | 縮み |
③ | 偏心 |
④ | 偏角 |

数字 | 名称 |
---|---|
① | 溶接場所 |
② | 保護用カバー |

数字 | 名称 |
---|---|
① | ラギング |
接続時の注意事項
フランジ接続の場合
- 1.ゴム製フレキシブル継手は、相手側のフランジの形状によってゴム本体のパッキンシール面が損傷する恐れがあります。下表を参考にフランジの形状をご確認ください。
- 2.取付ボルトは、製品側から差し込み、ナットは相手側で締付けてください。また、弛み防止のために、ばね座金(スプリングワッシャ)を装着するとより安全です。また、製品側からの差し込み不可の場合、全ねじボルトやボルトを配管側から差し込んでください。なお、ボルトの先端が製品側に極端に突出しないようご注意ください。
- 3.取付ボルトの締付けは、対角線に均等に締付けてください。締付量は下表の締代残をご参照ください。片締めなどの異常な取付けは、製品を傷付け、不具合の要因となります。
- 4.取付稼働後、ポンプの振動によって取付ボルトに時として弛みが発生することがあります。もう一度対角線に均等に増締めしてください。
- 5.取付の際には、フレキフランジの凹み部(溝部)とゴム本体パッキン部が正常にセットされている状態であるかご確認ください。
フランジタイプ(ガスケット座の種類) | |||
---|---|---|---|
全面座(FF) | 平面座(RF) | 溝形(GF) | 溝形(TG-T)/はめ込み形(MF-F) |
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問題ありません ゴム本体のパッキン部を |
問題ありません ゴム本体のパッキン面と |
問題ありません ゴム本体のパッキン面と |
使用できません 突起部とゴム本体の |

取付ボルト寸法表

六角ボルト
(JIS B 1180 並目ねじ)
呼び径 | PTコネクタ・OFLEX・トーゼンフレックス ピュアジョイント・ライナーフレックス(Aタイプ) ・エルボフレックス(Aタイプ) |
TOUGHLEX BFコネクタ タフボーイ |
キングフレックス20 | サイレントコネクタ | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
JIS5K | JIS10K | JIS20K | 水協7.5K (JISG3443-2) |
JIS10K | JIS20K | JIS10K | |
20 | – | M12×55L(4) | M12×55L(4) | – | M12×55L(4) | – | – |
25 | – | M16×60L(4) | M16×65L(4) | – | M16×60L(4) | – | – |
32 | M12×50L(4) | M16×60L(4) | M16×70L(4) | – | M16×65L(4) | M16×70L(4) | M16×60L(4) |
40 | M12×50L(4) | M16×60L(4) | M16×70L(4) | – | M16×65L(4) | M16×70L(4) | M16×60L(4) |
50 | M12×55L(4) | M16×60L(4) | M16×70L(8) | – | M16×65L(4) | M16×70L(8) | M16×60L(4) |
65 | M12×55L(4) | M16×65L(4) | M16×70L(8) | – | M16×65L(4) | M16×75L(8) | M16×65L(4) |
80 | M16×60L(4) | M16×65L(8) | M20×80L(8) | M16×70L(4) | M16×65L(8) | M20×85L(8) | M16×65L(8) |
100 | M16×65L(8) | M16×65L(8) | M20×85L(8) | M16×70L(4) | M16×65L(8) | M20×85L(8) | M16×85L(8) |
125 | M16×65L(8) | M20×75L(8) | M22×90L(8) | M16×75L(6) | M20×75L(8) | M22×95L(8) | M20×70L(8) |
150 | M16×70L(8) | M20×80L(8) | M22×95L(12) | M16×75L(6) | M20×80L(8) | M22×95L(12) | M20×75L(8) |
200 | M20×80L(8) | M20×80L(12) M20×90L(12)※ |
M22×100L(12) | M16×80L(8) | M20×80L(12) | M22×100L(12) | – |
250 | M20×80L(12) | M22×90L(12) | M24×115L(12) | M20×90L(8) | M22×90L(12) | M24×100L(12) | – |
300 | M20×80L(12) | M22×90L(16) | M24×115L(16) | M20×90L(10) | M22×90L(16) | M24×115L(16) | – |
350 | – | M22×95L(16) | – | M22×95L(10) | – | – | – |
400 | – | M24×100L(16) | – | M22×95L(12) | – | – | – |
※相手側フランジの材質がSS400で平座金2枚とばね座金1枚を使用した場合
※ライナーフレックス(Cタイプ)・エルボフレックス・(B・Cタイプ)の取付ボルトについては、「ゴム製可とう伸縮継手取扱い上のご注意」をご参照ください。
S締代残(mm) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
製品名 | ライナーフレックス (Aタイプ) タフボーイ |
キングフレックス20 | TOUGHLEX | PTコネクタ トーゼンフレックス エルボフレックス (Aタイプ) |
エルボフレックス (B・Cタイプ) ライナーフレックス (Cタイプ) |
ピュアジョイント BFコネクタ (100A迄) |
呼び径 | ||||||
20A・25A | 1 | – | 1 | 1 | – | 1 |
32A~80A | 1 | 4 | 1 | 1~2 | – | 1 |
100A | 1 | 4 | 1 | 1~2 | 8.5 | 1 |
125A | 1 | 4 | 1 | 1~2 | 8.5 | 1~2 |
150A | 1 | 4 | 1 | 1~2 | 13 | 1~2 |
200A | 1 | 4 | 1.5 | 2~3 | 13 | 13 |
250A・300A | 1 | 2 | 2 | 2~3 | 13 | – |
350A~450A | – | – | – | 4 | 13 | – |
ねじ込み接続の場合
PTコネクタSおよびトーゼンフレックスSの施行手順に沿って接続時の注意事項を以下に示します。
- 1.取付ボルトをはずし、本体からフランジA・ソケットをばらしてください。
- 2.相手配管にフランジAと通してください。その際、向きをご確認ください。
- 3.配管側パイプねじが損傷なく滑らかであることを確認してください。
- 4.配管側パイプのねじにシールテープ(またはシール剤)を巻き、ソケットを手締めできる山数まで締め、ソケットの平径にスパナ(またはレンチ)をかけ配管側パイプにもレンチをかけ充分に締付けてください。
- 5.取付けボルトをゴム製フレキシブル継手側から差し込み、ナットを相手側で締付けてください。
- 6.取付けボルトの締付けは、片締めを避け均等に締付け、締付け量は下記締代残をご参照ください。
- 7.反対側も2~6の要領で施工してください。
- 8.取付稼働後、ポンプの振動によって取付ボルトに時として弛みが生じることがあります。その際は、もう一度均等に増締めしてください。

数字 | 名称 |
---|---|
① | フランジA |
② | ソケット |
③ | 本体 |

数字 | 名称 |
---|---|
① | バイブ |
② | 本体側 |



数字 | 名称 |
---|---|
① | フランジA |
② | 取付ボルト |
③ | ソケット |
④ | S=締代残 |
⑤ | 1.5A~25A(3~3.5mm) 32A.40A(4~4.5mm) 50A(5~5.5mm) |
⑥ | パイプ側 |
⑦ | 本体 |
ねじ込み接続の施行例

配管の固定について
- 1.ゴム製フレキシブル継手は内圧の負荷により反力が生じます。製品の性能を充分に発揮させるためには製品反力値を参考に配管をしっかり固定してください。
- 2.配管を固定する際には、下図の反力値(内圧変化における軸方向反力)をご参照ください。
- 3.現場の状況により配管の固定が充分に取れないなど、やむを得ない場合にはコントロールユニット(伸止め)をお薦めします。また、各製品のもつ許容変位置についてもサイズにより表示の数値よりも低くなる場合もあります。

記号/数字 | 名称 |
---|---|
(A) | 図1、ポンプ廻り防振システム例(1) |
(B) | 図2、ポンプ廻り防振システム例(2) |
① | 固定金物(防振) |
② | サポート金物(防振) |
③ | 吊り(防振) |


記号/数字 | 名称 |
---|---|
(A) | TOUGHLEX |
(B) | PTコネクタ |
(C) | トーゼンフレックス |
(D) | タフボーイ |
① | 軸方向反力[N] |
② | 圧力 |
BPタイプ(バックプレート)
相手配管のフランジボルト穴を利用したブラケットタイプ

数字 | 名称 |
---|---|
① | ゴムブッシュ付きの場合 |
- コントロールユニットBP(バックプレート)タイプ 取付ボルトは下表をご参照ください
コントロールユニットBPタイプ取付けボルト寸法表
適用製品
TOUGHLEX・タフボーイ・BFコネクタ・PTコネクタ
トーゼンフレックス・ライナーフレックス(Aタイプ)
キングフレックス20

六角ボルト(JIS B 1180 並目ねじ)
呼び径 | 適用フランジ | |
---|---|---|
JIS10K | JIS20K | |
32 | M16×80L | M16×90L |
40 | M16×80L | M16×90L |
50 | M16×80L | M16×90L |
65 | M16×90L | M16×90L |
80 | M16×90L | M20×100L |
100 | M16×90L | M20×105L |
125 | M20×100L | M22×110L |
150 | M20×100L | M22×115L |
200 | M20×105L | M22×130L |
250 | M22×110L | M24×150L |
300 | M22×120L | M24×150L |
350 | M22×125L | – |
400 | M24×130L | – |
※相手側フランジの材質がSS400の場合
Wタイプ(溶接)
製品フランジにブラケットを直接溶接したタイプ

溶断タイプ
製品のフランジにブラケットが一体となっているタイプ

数字 | 名称 |
---|---|
① | ゴムブッシュ付きの場合 |
製造年月の表示
製造年月の表示は、本体ゴム部に下図のように表示されています。
(例)2019年5月製造の場合

数字 | 名称 |
---|---|
① | 月 |
② | 年 |
③ | 製造年 |
④ | 製造月 |
耐用年数
ゴム製フレキシブル継手は、ゴムと補強層からなる複合弾性体で、永久的なものではなく寿命のあるものです。
製品の寿命は、さまざまな要因によって大きく左右されるた一概に何年と言い切ることは不可能です。
当社では、通常の平均的使用状況下における基準耐用年数を以下のように考えております。
1)基準耐用年数ー約8~10年程度(下記平均的使用状況の場合)
平均的使用状況
(TOUGHLEX・PTコネクタ・トーゼンフレックス・タフボーイなど)
- 使用温度・・・・・・常温(0~40℃)
- 使用圧力・・・・・・1.0MPa{10.2kgf/cm2}程度
- 起動停止頻度・・・・10~20回/日
- 稼働時間・・・・・・10時間未満/日
- 設置状況・・・・・・正しい心出しによる無理のない配管状態、適切な固定支持状態であること。
上記の基準耐用年数は、設置状況や変位の不可状況、稼働時間など種々の要因により大きく変動することは避けられませんので、あくまで大方の目安としてご理解ください。
また、製品の寿命を的確に判断され、事故の発生を未然に防止するため、保守点検を実施されるようお願いいたします。
2)寿命を縮める要因
製品は、下記の要因にてその寿命が縮まりますのでご注意ください。
- 製品の持つ最高使用圧力値に極めて近い圧力で長時間使用した場合
- 製品の持つ最高使用温度に極めて近い温度値で長期間使用した場合
- 1日の稼働時間が10時間を著しく超えて使用した場合
- 変位の繰り返し運動のあるような使用をした場合
- 1日のポンプの起動停止頻度が20回を著しく超えて使用した場合
- 圧力変動(最高使用圧力←ー→通常使用圧力)が1.5倍以上と著しく変動するような使用をした場合
- 各変位量がその製品の限界であるような使用をした場合
保守点検について
ゴム製フレキシブル継手は、使用状況により耐用年数が異なります。耐用年数を過ぎると流体が漏れるなど、不具合が発生します。
それら製品の不具合、設置常態の異常などの早期発見のため、保守点検を必ず実施するようお願いいたします。
点検周期・点検要領などについては製品に付属している取扱説明書に明記していますのでご参照ください。また取扱説明書は大切に保管してください。